リード獲得とは
リード獲得とは「リードジェネレーション(Lead Generation)」とも言われ、Lead(見込み客)をGeneration(生み出す)施策を意味します。
リード(見込み客)とは、自社に興味を持っており、今後顧客や利用者になる可能性がある企業・個人を指します。
どの情報の取得を持って「リード獲得」とするかは企業によって定義が異なりますが、具体的には「Webサイトからお問い合わせがあった」「セミナーで名刺交換をした」「電話営業をしたら資料請求につながった」などがリード獲得に該当します。
獲得したリードに対し、有益な情報を提供しアプローチをかけることで購入や成約につなげることができ、売り上げ増加が見込めます。
そのため、企業はリードに対して電話やメールなどのアプローチを行い、リードから顧客へ転換させるための活動を行います。
リード獲得を行う目的
リード獲得の最大の目的は、新規顧客を増やし、売り上げ拡大につなげることです。自社の売り上げを維持・拡大させるためには、既存顧客へのリピート施策が重要であるものの、どれだけ新規顧客を効率的に獲得できるかも大切です。
新規顧客を獲得するためには、あらゆるマーケティング施策や営業施策を実施しますが、そのいずれの施策もリードがなければ意味がありません。
一般的な営業・マーケティング活動のプロセスは、リード獲得を起点として始まります。そのため、リード獲得はマーケティング施策の中で非常に重要なステップになります。
リードをオフライン・オンライン獲得する14の方法
リードを獲得するために有効な方法は、各社の事業形態(BtoB向け、BtoC向けなど)、業種・商材・ターゲット層によって異なります。
また、時代の流れによる、手法の変化もあります。従来は飛び込み営業や展示会などオフライン施策が一般的でしたが、インターネットの普及により、オンラインでのリード獲得も増加しているのです。
そこで、オンライン・オフラインのリード獲得に有効な手段を紹介します。
オフライン施策
リード獲得におけるオフライン施策としては、以下のようなものが挙げられます。
1.展示会
イベント会場を利用して行われる展示会は、BtoB商材を中心に開催され、その場での購入を目的とするより、求めている製品やサービスについて情報収集している人が多い点が特徴です。そのため、参加企業も、販売の手前であるリード獲得を目的としていることが多いでしょう。
一般的に展示会は、特定のテーマが決められており、業界ごとに行われるため、競合他社の動向をさぐったり、情報交換を行う機会にもなります。
一方で、来場者は類似商品の比較・検討をする目的もあるため、自社商材を訴求するためには、製品やサービスを印象づけるさまざまな工夫を凝らす必要があります。
2.セミナー(リアルセミナー)
セミナーには自社開催のものと、他社セミナーに登壇するものがあります。いずれの場合も自社商材に興味のあるターゲットに対して、直接顔を見てアプローチできる貴重な場です。
セミナーの内容は、リードの課題解決につながる内容に設定されることが多く、テーマによっては潜在層へのアプローチも可能です。
自社開催のセミナーの場合、思うように集客できずに成果が得られなかったり、準備にコストや労力がかかったりすることもあります。
他社セミナーの場合は、集客を任せられる反面、登壇者に競合が並ぶ可能性も高いでしょう。いずれにしても、参加者の興味関心を集める内容にしつつ、自社の存在を記憶してもらうためにうまくアピールすることが大切です。
そして、セミナー案内メールからリード獲得を行うためには、参加者との名刺交換を行える時間を設けたり、アンケートに参加者の情報を記入してもらうなどの工夫が必要です。
セミナーでは興味を持って自主的に参加しているターゲットがほとんどですので、効率的に質の高いリードを獲得できる可能性が高い施策です。
3.ダイレクトメール(DM)
ダイレクトメール(DM)は昔からあるオフラインマーケティング施策のひとつです。特にBtoB領域のマーケティング施策として活用され、コピーライティングを含めたノウハウが求められます。
形態は郵送のほかFAXもあります。FAXを使用する企業は大幅に減少傾向にあるものの、一部の業界ではFAX DMが有効な場合もあるのです。
DMでリード獲得を行う手段としては、DM内に返信用封筒を用意しておいたり、問い合わせ用の電話番号やメールアドレスをDMに記載する方法が一般的です。
4.テレマーケティング
テレマーケティング(電話営業)とは、顧客に対して電話でコミュニケーションを取り、最終的に自社商材を購入してもらうことを目的としたマーケティング手法です。
架電リストをもとに電話で自社商材をセールスしますが、トークスクリプトをもとに案内するため、商品についての専門知識がない人材でもすぐに実践できる点が特徴です。
そのため、最近では架電業務をアウトソーシングする企業も多くみられます。
5.飛び込み営業
飛び込み営業も古典的なオフラインマーケティング手法のひとつです。
オフィスや個人宅に事前のアポイントメントがない状態で訪問し、自社商材を紹介する方法です。BtoB商材とBtoC商材いずれの場合でも活用できます。
オンライン施策が増えてきたことで、数は減っているものの、オンライン施策では獲得できない高年齢層がターゲットの場合や、直接話すほうが商材の理解を得られやすいサービスなどに効果的です。
臨機応変に対応できる営業力や根気が求められます。
6.OOH(屋外広告・交通広告)
OOHとは「OUT OF HOME」の略で、屋外に設置する広告を指します。なかでも、交通広告は駅構内や電車内、バス内の広告を指します。
また、近年ではタクシー広告もBtoB商材で多く活用されています。具体的には、以下のものが挙げられます。
駅構内・バス停の看板
電車の中吊り広告
タクシー広告
ラッピングカー
大型ビジョン
人通りの多い場所でOOH広告を設置すると、多くの人の目に留まり幅広い認知につながります。
一方で、媒体や場所によっては見られる時間が短いため、OOHでリードを獲得するためには、できるだけ短時間でリード獲得できる工夫が必要です。
気づきや発見を与えるような1行コピーやデザインで引きつけ、LPやECサイトに直接アクセスできるようにQRコードを広告に掲載するなどが有効な手段でしょう。
7.フリーペーパー
自社が提供するサービスや製品に関する情報を掲載したフリーペーパーを作成し、イベントやセミナーなどで配布することで、リードを獲得することができます。
8.ポスター広告
駅や街中などにポスター広告を掲示することで、自社の製品やサービスについて広く知ってもらうことができます。
ポスターには、自社のウェブサイトや問い合わせ先の情報を掲載することで、リードを獲得することができます。
オンライン施策
リード獲得におけるオンライン施策としては、以下のようなものが挙げられます。
9.Web広告
ひとことでWeb広告といっても、その種類はリスティング広告・動画広告・ディスプレイ広告など多岐にわたります。
テキストや画像、動画形式など幅広い形で広告を発信できるだけでなく、細かいターゲティング設定ができるため、精度の高いマーケティングが可能です。
また、少額から効果を試しながら戦略を考えることができる点も魅力です。広告の掲載場所、形態などが自由に選べる反面、自社に合った広告を選択し、有効に活用する知見や技術が必要です。
10.SNS広告
SNSによるマーケティングとは、Instagram・Facebook・Twitter・LINEなどを活用する方法です。SNSは日常的に使用されるため、リアルタイム性が高く、情報発信のスピードが早い点が特徴があります。
さらに、他のユーザーの投稿を自分のフォロワーや友達にシェアできる機能があり、拡散力が強いことも期待できる効果です。
SNSアカウントを作成して情報発信をすることは無料でできますが、フォロワー数を集めるのに時間を要する企業もあるでしょう。
有料広告枠を買って利用することもできます。その際は、細かいターゲティングも可能なため、狙ったユーザー層に確実に広告を配信できるでしょう。
11.メディアへの記事掲載
他社が運営しているメディアに自社の情報を掲載してもらい、ターゲットに訴求する方法もリード獲得に有効です。第3者に自社の商品をPRしてもらうことで、自社サイトで宣伝をするより信頼を得やすい効果もあります。
他社メディアに掲載してもらう方法としては、取材記事、またはタイアップの記事を作成してもらう方法と、他社メディアのバナーなどの広告枠を購入する方法があります。
メディアを活用する場合は、掲載するメディアの読者層が自社商材のターゲットと合っているかどうかが重要です。媒体自体のターゲットやアクセス数、集客方法を確認しましょう。
12.オウンドメディア
コンテンツマーケティングは、潜在顧客を自社で発掘するのに適した方法です。自社運営サイトですが、企業HPとは異なり、潜在顧客の悩みや興味、課題に沿って設定したキーワードに沿って記事を作成し、オウンドメディアに集客します。
そして、自然な流れで顧客の課題を解決するひとつの手段として自社商品を紹介し、問い合わせや資料ダウンロードに繋げます。
コンテンツマーケティングを成功させる1つの手段としては、SEO対策が有用です。狙ったキーワードで上位を獲得できれば、より多くの流入が見込めるでしょう。
サイトが上位表示されるためには、量と質が重要になるため、根気のいる手法ですが、軌道に乗れば自然流入が継続的に見込める資産サイトになるでしょう。
13.ウェビナー
オフライン施策でセミナーを紹介しましたが、現在多くのセミナーはオンライン開催のウェビナーになっています。オフラインで開催されるセミナーと同様に、自社商材に興味のあるターゲットが参加するため、リード獲得効率が高い点が特徴です。
オフラインのセミナーと違い、会場までの移動時間や交通費などがかからず、インターネットに接続できるデバイスがあれば、職場や自宅から参加できる魅力があります。開催側としても、現在は有料・無料含めさまざまなツールが提供されているため、開催コストが抑えられるメリットがあります。
さらに、ウェビナーはリアルタイムで配信する形式だけでなく、録画配信も可能なので、日時が会わず参加できないといった取りこぼしも減らせます。
ただし、気軽に参加できる反面、リアルなセミナーより参加者の平均的な関心度が下がったり、ターゲットではない視聴者が紛れ込んだりといった懸念もあります。
昨今では、セミナーのみならず展示会もオンラインで開催されるようになりました。メタバースという仮想空間を設置したり、アバターで参加できたり、よりリアルに近い環境で開催することが可能です。
14.メール
メールを利用したリード獲得は、オンラインでのリード獲得方法としては古典的な手法になりつつあります。何かしらの方法で入手したメールアドレスあてに、お知らせメールを送り、リード獲得につなげます。
テレマーケティングや飛び込み営業とは異なり、時間や場所に限りがない点が特徴です。また、紙のDMとは異なり文字数に制限がない点も魅力のひとつでしょう。
昨今では、定期的にお知らせを送るメルマガだけでなく、ターゲットごとに内容を分けたターゲティングメールやシナリオメールなど、メールマーケティング手法は多岐にわたっています。
一方で、セールスメールが多くなり、オプトアウトが増えていることには注意が必要です。受信側のことを考えず一方的にメールを送り続けていれば、効果が得られないだけでなく企業・ブランドイメージダウンにつながりかねません。
そのため、メールを利用してリード獲得を行う場合には、送付するユーザーの開封率やリンクへのアクセスなどの記録をもとに、ターゲットの検討フェーズを適切に把握し、検討フェーズに合わせて内容を工夫することが重要です。
また、配信にはMA(マーケティングオートメーション)ツールを活用すると、メール配信が効率的に行えるだけでなく送信ミスを防ぐこともできます。
効果的にリードを獲得するためにはどちら大事?
オフライン施策は、オンライン施策と組み合わせることで、より効果的なリード獲得につなげることができます。目的に合わせて二つの観点から検討すると良いでしょう。
リード獲得において重要なポイント
リード獲得において重要なポイントは以下の通りです。ターゲットを明確にし、最適なコンテンツの提供、フォローアップなど、これらのポイントを考慮しながら、リード獲得施策を展開することが重要です。
ターゲットの明確化
リード獲得において、ターゲットを明確にすることはとても大切です。なぜなら、ターゲットによって効果的なリード獲得の施策は異なってくるからです。
性別、年齢、職業、役職、悩み、趣味、休日の行動、情報収集方法などを具体的に設定し、インサイトの理解に努めます。
そのためには、日頃顧客とコミュニケーションを取っている営業担当者と連携し、顧客の課題や実現したいこと、自社を選定してくれる理由などの情報共有をすることが重要となってきます。
自社のサービスや商品の受注につなげるには、どのような層に訴求するべきなのか、またどんなメッセージを打てばターゲットに響くのかなどを整理したうえで適切な媒体や必要な手法の選定を行うべきです。
ターゲットに合わせたコンテンツ選定
ターゲットを具体的に設定することで、その人物に合わせた施策を選ぶことができます。例えば、ターゲット層が東京都在住の30代独身男性の場合、オフィスまで毎日同じルートで電車通勤をしている可能性が高いでしょう。
その場合、移動中に目に入りやすい交通広告の広告出稿が有効でしょう。一方、同じ年代の会社員でも、地方では電車ではなく車通勤をしている可能性が高く、ラジオ広告のほうが効果的かもしれません。
また、同じSEOコンテンツでも、すでに高い関心を持ち、情報収集も行っているような人であれば、競合他社製品との比較や、購入を後押しする活用事例などの記事が必要になるかもしれません。
逆に、まだ自社の関連商材に関する興味や、課題への認識が薄い場合は、気づきを与えるようなコンテンツなどが必要になるでしょう。
このように、ターゲットにあわせた媒体を選定し、コピーやデザインなどにも差をつけて、コンテンツ選定することがポイントです。
獲得したリードへの次回アクションの設定
リードが獲得できたからといって安心してはいけません。すべてのリードが、必ず受注や購買につながるとは限らないからです。業種や商材によっては、リードが興味をもった段階ですぐに購入することもあるでしょう。
しかし、高額商材やBtoB商材は検討期間が長くなる可能性があります。だからといって、関心度合いがまだ高くないリードに対して強い営業をかければ逃げられてしまうでしょう。
そのため、獲得したリードとは継続的につながり、徐々に自社への興味・関心を高めてもらうために段階を追ってアプローチを行う必要があります。このことを、リードを育てるという意味で、「リードナーチャリング」と呼びます。
例えば、獲得したリードに対してまずインサイドセールス(内勤営業)担当者が電話にてヒアリングを行ったり、ユーザーの役に立つコンテンツ情報を提供したり、Webセミナーの案内などを送ったりしてリードの関心度を高め、クロージングにつなげます。リード獲得後の長期的なアクションまで設計することが重要です。
まとめ
リード獲得は、営業のファーストステップであり、継続的な事業成長のためには安定的で継続的なリード獲得が欠かせません。しかし、リード獲得のための手法は多岐にわたっており、獲得したリードの検討期間も長くなっています。
現在はデジタル化の流れから、オンラインの施策が主流である一方、ターゲットによってはオフラインの施策もまだまだ有効です。
ターゲットの明確化、インサイトの深掘りをしながら、さまざまなアプローチ方法を試してみましょう。