前のアイコン 記事一覧へ
Jan 21, 2022
1分間で読了できます。

改正個人情報保護法がデジタルマーケティングに及ぼす影響とは

2022年4月から施工される「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律」(2020年6月12日公布)では、個人の権利利益の保護などを目的として、個人情報保護法が改正されました。今回の改正は、3年ごと見直しの過程で得られた共通の視点を反映したものです。

CM.com Japan.K.K
CM.com Japan.K.K,
CM.com Japan Marketing Team

改正個人情報保護法が2022年に施行、デジタルマーケティング及ぼす影響

ひとことで言えば、改正個人情報保護法により規制が厳しくなります。その背景のひとつには「リクナビ事件」があります。

リクナビ事件とは

求人情報サイト「リクナビ」を運営する株式会社リクルートキャリアは、個人情報である氏名の代わりにCookieで突合し、特定の個人を識別しないとする方式で内定辞退率を算出し、学生から第三者提供に係る同意を得ずにこれを利用企業に提供していました。

リクルートキャリアは、Cookie・ID等と氏名を突合することで内定辞退率の提供を受けた企業側において特定の個人を識別できることを知りながら、提供する側では特定の個人を識別できないとして、個人データの第三者提供の同意取得を回避していました。

企業が「内定を出した学生が他社に決め、内定を辞退する」という状況を避けるための情報を貴重としており、リクルートキャリアは学生の承諾なしに企業に個人情報を提供していたことになります。

このことは、違法ではないものの、法の趣旨を潜脱した極めて不適切なサービスとされ、今回の改正に大きな影響を及ぼしました。

改正のポイントと規制事項

改正個人情報保護26条では、それ単体では個人情報ではない(氏名と結びついていないインターネットの閲覧履歴、位置情報、Cookie情報等)を「提供先」に提供する場合において、「提供先」が個人関連情報を個人データとして取得することが想定される場合は、当該「個人関連情報取扱事業者」は、「提供先」においてあらかじめ当該「個人関連情報」に係る本人の同意等が得られていることを確認し、この記録を作成・保存する必要があるとの規制が新たに設けられます。

つまり、本人を特定できる可能性がある個人関連情報として、今まで個人情報として扱われていなかったものが規制されました。これまで、ネット上の閲覧、購買履歴、位置情報などは規制外でした。

そのため、リクナビの件も違法ではありませんでしたが、改正により本人の承諾なく利用することはできなくなります。

Cookie バナーは提供にならない(規制がある)

Cookieバナーであれば「第三者提供」になりません。しかし、欧米の場合は異なります。

Webサイトを訪れた閲覧者に対して、「Cookieを承諾しますか?」というボタンを表示しなくてはなりません。ユーザーの同意を得なければCookie情報を取得できないよう規制されています。

Cookieに関する規制


  • ヨーロッパ:同意ありきで制定される

  • アメリカ(カルフォルニア州):同意ありき

  • 日本:提供しないと規制にならない


クッキーの規制に関してより詳しく知りたい方はこちら:

なぜサードパーティークッキー規制が行われるようになったのか

デジタルマーケティングとして各企業が個人情報を取得する際に注意すること

ECサイトなどを運営する企業のマーケターは、メールマガジンを送るためにメールアドレスを取得したり、アカウント認証を行ったりすることにより、プライベートDMP、MAツール、ウェブアクセス解析などのツールを活用し、閲覧情報、購入情報などを取得、分析することがあると思います。

これらのツールで取得するデータは、その取扱が規制の対象となる場合があり、以下の対応が必要です。

  • 利用目的の特定・通知(公表)

  • 通知(公表)した目的以外に利用しないこと

  • 通知(公表)した目的以外に利用する場合、本人の同意を取得すること

  • 第三者に提供する場合、原則として本人の同意を取得すること

  • 安全管理措置を講じ、従業員・委託先を適切に監督すること



このような状況をあらかじめ想定し、Webサイトで個人情報を取得する場合は、サイト全体を通して行っている個人情報の取扱全体について利用者に対して適切な情報提供をするなど、配慮することが必要です。

改正個人情報保護法2022年の内容を理解し、対策へ

個人情報に関するデータの収集・分析が進み、顧客一人ひとりに合わせた新たなサービスが提供される一方で、個人が自分の情報を完全にコントロールすることができなくなるおそれが生まれています。

そのため、個人情報保護法は個人情報を取扱う企業に対する規律を設けており、令和2年改正もその方針に則ったものといえます。

今回の改正においては、個人情報保護法に違反した場合の罰金の法定刑が引き上げられるなどの改正もなされていますが、それ以上に避けたいのは、リクナビ事件のように勧告等の内容が公表されることによるレピュテーションリスクです。

「知らなかった」では済まされないため、今回の改正の内容をしっかり理解したうえで、個人情報の収集や利用などに関しては法令違反になるおそれがないか、十分に注意しましょう。

クッキー規制後のマーケティングについてはこちら:ポストクッキー時代の広告戦略は?マーケターが知るべき代替ソリューションとは

3rd Party Cookie対策にMMCの利用を!

この記事を共有する
CM.com Japan.K.K
CM.com Japan.K.K,
CM.com Japan Marketing Team

CM.comは企業向けにSMS送信サービス、SMS配信・認証API、+メッセージ(RCS)、WhatsApp Business、メール配信システムなどを提供しているグローバルカンパニーです。当社プラットフォームを利用することで顧客セグメント、ターゲティング、LP・フォーム制作、配信分析などマーケティングやDXに求められることを実現できます。

最新記事

drive-engagement-and-convert-your-conversations-with-whatsapp-carousel
Jul 24, 2024 • WhatsApp

WhatsApp Businessで海外マーケティングを効果的にする方法

世界で最も利用されているメッセージングアプリであるWhatsAppの企業公式アカウントであるWhatsApp Businessをマーケティングで活用する際に顧客とのコミュニケーションを強化し、マーケティング効果を上げる機能をご紹介。

drive more automotive sales
Jun 09, 2024 • SMS

SMSで写真や画像は送れない?携帯電話番号宛のメッセージで画像を送信する方法と法人利用で画像を活用するメリットを解説

SMSで写真や画像を送ることはできるのか?送信できない場合に送る方法は別にないのかと、探している方は多いのではないでしょうか。今回はSMSから写真や画像が送れない?と困った時にSMS類似のサービスやSMSに添付して送信方法、また法人でSMSに画像を送付するメリットを紹介します。

msc blog klantloyaliteit
Feb 05, 2024 • Eメール

メールとSMS配信はどちらが効果的?到達・開封・クリック率の違いなどを紹介

最近SMSのビジネス利用が注目され、導入検討する企業が増えてきています。 しかし、すでにメール配信という安価で便利なツールがあるのに、なぜ今更SMS配信なのか…という声もあります。 ここでは、SMS配信とメール配信の違いを含め、開封率、到達率などを紹介します。

Engage peak moments in ecommerce end of 2023
Jan 29, 2024 • マーケティング

カゴ落ちとは?カゴ落ちを防ぐ9つの方法

商品をカートにいれたものの、購入まであと1歩のところから進まない、または離脱してしまう、「カゴ落ち」。 せっかく興味を持ってもらい購入の意向が強くなっているのにもったいないですよね。そこで今回は。カゴ落ちが起こる原因と対策をご紹介します。

cm.com blog live chat human woman laptop
Jan 19, 2024 • Eメール

メールでリードナーチャリングをする方法とは?手法やポイント、手順を解説

メールを用いたリードナーチャリングは、運用コストを抑えながら一度に多くのリードへアプローチできることから、多くの企業が実施しているマーケティング手法です。今回は、メールナーチャリングの手法や手順をご紹介します。

How To Get Started With Apple Messages For Business
Jan 13, 2024 • マーケティング

DM(ダイレクトメール)とは?メリットや効果的に送る方法を紹介

郵送・DM(ダイレクトメール)は、企業が直接法人・個人へハガキや封書で案内を送付するダイレクトマーケティング手法の一つです。オンラインでのマーケティングが増えているなか、改めて紙媒体であるダイレクトメールに注目が集まっています。そこで本記事では、ダイレクトメールのメリットやデメリット、効果を上げるコツを解説します。

industry-logistics
Dec 01, 2023 • SMS

SMSの既読はわかる?企業がSMSが既読になったかどうか判断する方法と類似メッセージサービスの既読機能を紹介

SMSは既読機能がないため送信者側から届いたかを確認することができません。しかし類似のツールでは既読確認ができ、企業がSMSを送信する場合にはWebページやLPを活用すると既読の確認ができます。 この記事では既読ができる類似メッセージツールの紹介と法人がSMSを既読を確認する方法を紹介します。

Multi-channel vs. omni-channel
Nov 29, 2023 • マーケティング

CRMとは?基本機能やCRMシステム導入のメリットを紹介

CRM(顧客関係管理)とは、顧客情報を一元管理することで、顧客との関係性を維持・向上させるアプローチ、およびその目的のために開発されたツールを指します。 近年、多くの企業で導入され活用されているCRMの基本機能や導入のメリットについてご紹介します。

Helpdesk Automation
Nov 13, 2023 • Mobile Marketing Cloud

ランディングページとは?集客できるLP制作のポイントを紹介

商品やサービスごとのランディングページを活用している企業は多いかと思います。しかし、どんなにすぐれたデザインのランディングページを作成しても、ターゲットとする顧客に見てもらなければ意味がありません。 ランディングページのコンバージョンを高めるのに重要なのは、流入経路です。そこで、今回はLPの作成方法をご紹介します。

Is this region a better fit for you?
Go
close icon