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Mar 02, 2022
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カスタマーサクセスとは?注目される背景やKPIや成果指標を解説

サブスクリプションモデルが広がる中で、顧客価値や顧客成功体験といった言葉が注目されています。多くの業態で市場が縮小傾向にある日本では、既存顧客との関係を強固にし安定した収益基盤を作りたいと考えている企業も多くあります。そこで注目されているのが、カスタマーサクセスという概念です。

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CM.com Japan Marketing Team

カスタマーサクセスとは

「カスタマーサクセス」とは、直訳すれば「顧客の成功」という意味ですが、詳しくいえば「顧客を成功に導くための取り組み」を指します。

顧客が自社製品やサービスを最大限に活用できるように手助けをし、「顧客が成功することで、自社の利益を得る」という考えのもとに行う戦略や活動です。

この活動にはカスタマーサポートやアップセルだけでなく、顧客の要望に合わせた教育やガイダンスも含みまれます。

最終的には、長期的な顧客満足の向上、高い顧客ロイヤリティの獲得とビジネスの成長を推進します。

カスタマーサクセスが注目される背景

カスタマーサクセスが重要視されるようになった背景には、従来の売り切り型の販売から月額利用を徴収するサブスクリプションモデル型に変わったことがあります。

サブスクモデルは顧客が増えれば、毎月の収益は増え、安定します。しかし、解約や他社サービスへの乗り換えリスクがあるため、継続的に使ってもらうための攻めの姿勢が重要です。その役割を担うのがカスタマーサクセスです。

よく聞くロイヤリティとは

カスタマーサクセスの文脈で「顧客ロイヤリティ」という言葉をよく耳にします。

カスタマーサクセスを実現するうえで極めて重要となる「ロイヤリティ」には、一般的に「心理ロイヤリティ」と「行動ロイヤリティ」に分けられます。

心理ロイヤリティ(感情ロイヤリティ):

商品やサービスに対して抱く愛着や信頼

行動ロイヤリティ(理性ロイヤリティ):

商品やサービスに対する行動を示し、実際に購買したり人に勧めたりすること

カスタマサポートとの違い

カスタマーサクセスと混同されやすい言葉に、「カスタマーサポート」があります。

カスタマーサポートの役割は、顧客の課題解決やクレーム対応であり、主に顧客からの不明点を「受動的」に解消し、本来の状態に戻すことが目的です。

一方で、顧客の成功体験を実現する役割を持つカスタマーサクセスは、企業側から「能動的」に先回りして支援を行います。


カスタマーサクセスのKPI・成果指標

カスタマーサクセスは継続的にサービスや商品を使っていただくために重要な要素です。ではカスタマーサクセスはどのような指標で評価していけば良いのかがポイントとなってきます。

ここではカスタマーサクセスのKPI・成果指標について詳しく紹介します。

LTV(顧客生涯価値)

カスタマーサクセスにおいて最も重要な目標は、顧客一人ひとりのLTVの向上です。LTVとは「Life Time Value」の略称で、日本語では「顧客生涯価値」と呼ばれています。

つまり、ある顧客が取引を開始してから終了するまでの期間に、自社に対してどれだけ利益をもたらしたか、収益の総額を算出するための指標で、以下のような計算式で算出します。

(売上の平均値)×(平均利用期間)×(月次または年次の平均リテンション期間)


LTVは高ければ高いほど良いです。 つまり企業は、売上やリテンション率を上げる方法を積極的に見つけなければなりません。

CAC(顧客獲得単価)

CAC(Customer Acquisition Cost)とは、新規カスタマーを獲得するために要する費用で、低ければ低いほど良いでしょう。

サブスクリプションビジネスをはじめとする企業のサービスでは、顧客を得るために、広告費や営業人件費など、様々なコストがかかります。その費用金額を新規カスタマーの人数で割りCACを求めます。

チャーン

チャーンとは、ある期間に失ったカスタマーの割合です。“churn” は、かき混ぜる、激しく動く、撹拌などの意味を持つ言葉で、競合する複数の企業間でサービスや契約の切り替え、乗り換えを頻繁に繰り返す「移り気な」顧客を指します。 「継続率」が重要なサブスクリプションビジネスでは、チャーンをなるべく低く抑えなければなりません。

アップセル・クロスセル率

アップセルとは、購入を検討している商品・サービスよりも顧客単価が高くなるように、検討中のものよりも高いものの購入を促すセールス手法です。

クロスセルとは、購入を検討している商品・サービスに関連したものを一緒に進めて購入を促すセールス手法です。

これらを行うことによって顧客単価の向上・営業効率のアップ・ブランドイメージ向上などのメリットがありますが、強引な勧誘や提案は逆効果となってしまうためカスタマーサクセスによって顧客との信頼関係を築くことが成功につながる鍵となります。

NPS(ネットプロモータースコア)

NPSとは、顧客ロイヤルティを測定・評価する指標です。NPSと事業の成長率には高い相関関係があることを証明する多くの調査が出ています。

例えば、NPS考案者の一人であるベイン・アンド・カンパニーでは、おおよその業界においてNPSでトップを走る企業は、競合他社の2倍の成長率を上げているという調査結果を発表しています。

NPSは非常なシンプルな聞き方でスコアを把握します。「あなたはこの企業(製品/サービス/ブランド)を友人や同僚に薦める可能性は、どのくらいありますか?」という質問を行い、0~10の11段階で評価をしてもらいます。 回答は3カテゴリーに分類されます。

  • プロモーター(ファン):9か10をつけた人

  • パッシブ(受け身な人):7か8をつけた人

  • デトラクター(批判的な人):0〜6をつけた人



そして、プロモーター(ファン)の割合からデトラクター(批判的な人)の割合を差し引いて算出します。名前が示すように、受け身な人は計算から除外します。

スコアは理論上 −100(全員批判的)〜+100(全員ファン)の範囲に収まります。一般的に0より大きければ良好、+50より大きければ素晴らしいとされます。

カスタマーサクセスの具体的な施策

カスタマーサクセスを成功に導くために、企業がとるべきアクションを、顧客の3つのフェーズ(段階)に分けて解説します。

導入支援

サービス契約・商品購入前後の顧客に対しては、顧客が「期待どおりのことができている」とその価値を実感してもらえるよう、顧客のニーズに合ったサービス・商品の使い方を伝えましょう。

特に、以下の2つのポイントを押さえておきます。

顧客の成功の定義を確認する

顧客により「成功」の定義は異なります。カスタマーサクセスを実現するには、顧客が何を成功と考えていて、いつまでにどんな目的を達成したいのかを知る必要があります。

営業段階から顧客の成功の定義を確認できていれば、契約後、スムーズに支援を実行できます。難しいのは、顧客自身が自らの成功の定義をうまく言語化できないケースがあることです。そのため、営業担当が顧客の潜在的なニーズを見える化する必要があります。

ちなみに、契約前に確認した顧客のニーズに自社が提供できる価値では応えられないと気付いた場合、サービスを提供しないでおくという判断も重要です。その時点では契約には至りませんが、相手との良好な関係性を維持していれば、今後、何らかのサービスを提供した際に顧客になってくれる可能性が残ります。

サービス導入後、顧客がすぐに効果を感じられるようにする

サービス・商品導入直後の顧客は、期待とともに不安もあり「本当にこれで効果が得られるのだろうか」「この選択で間違っていなかったのだろうか」とサービス・商品の効果に関して注意深くなっています。

そこで、サービス・商品導入後のタイミングで「導入してよかった」という価値を感じられると、顧客はその後もサービスを積極的に使い続けるようになります。

顧客が「このサービスを使えば、自分がやりたいことを実現できる」という確信を得られると、そのあとも使い続けたいというモチベーションが生まれます。

活用フォロー

顧客のサービス・商品導入から一定期間が経ったら、サービスを活用できているか確認しましょう。顧客の状況を確認するには、システムログインの頻度や機能の使用履歴などを確認したり、メールや電話等でヒアリングしたりする方法があります。

もし、顧客がサービスを上手く活用できていない場合は、必要に応じて個別にフォローするのもよいでしょう。サービスの使い方だけでなく、顧客が気付いていない機能や活用のコツを伝え、サービス・商品をより効果的に利用してもらえるよう支援します。

そしてこの段階では、顧客が自力でサービス・商品を活用し、自らの目標を達成できるようになることを目指します。

ファン化

カスタマーサクセスの最終フェーズとしてファンを増やしていきます。

導入支援から活用フォローまでをしっかりおこなうことで、顧客はサービス・商品を使いこなせるようになるだけでなく、その企業に対してロイヤルティを感じてくれるようになります。

その結果、継続して利用したいという気持ちが強くなるだけでなく、良い口コミなどを発信してくれる場合があります。

つまり、自社の「アドボケイター(advocator)」となり、自社のブランドやサービスを熱狂的に支持し、サービスに関する良い情報を発信してくれます。

また、そのような顧客に対しては、より満足してもらえるよう、グレードアップしたプラン(アップセル)や別の商品やサービス(クロスセル)を勧めましょう。顧客の満足度が上がるだけでなく、自社の収益の向上にもつながります。

また、そのような顧客に対しては「アンバサダー」として、サービス改善に積極的に関わってもらうよう働きかけるのもよいでしょう。自分の意見が採り入れられたサービスがリリースされることで、顧客はその企業やサービスに対してより一層ロイヤルティを感じるようになります。

カスタマーサクセスとマーケティング部門の連携が鍵

カスタマーサクセスを成功に導くには、カスタマーサクセスを担う部署と、優良顧客を獲得するための施策(広告出稿、見込み顧客の育成)を担当するマーケティング部門の連携が鍵です。

例えば、以下のように担当を分け連携していきます。

  1. マーケティング:広告出稿

  2. マーケティング:見込み顧客の育成

  3. カスタマーサクセス:LTV分析や顧客理解



優良顧客を獲得するためには、部門間で顧客理解を深め、顧客を獲得して行くことが大切です。

顧客との良好な関係にカスタマーサクセスを

顧客に継続してサービス・商品を利用してもらいロイヤルカスタマーになってもらうには、カスタマーサクセスが欠かせません。

顧客の成功が実現されれば継続して利益になるだけでなく、新規顧客の獲得にもつながります。まずは、「顧客の成功」とはなんのか、それを探ることからはじめましょう。

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